

小濱道博の介護経営よもやま話
※この記事は 2023年10月30日 に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。
介護報酬改定の「6月施行」を考察する
- 2023/10/30 09:00 配信
- 小濱道博の介護経営よもやま話
- 小濱道博
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社会保障審議会介護給付費分科会は9月27日と10月2日、業界団体へのヒアリングを行った。各団体がそれぞれ5~10分程度、意見陳述のスピーチをするという恒例のイベントだ。これが終了すると、介護報酬改定の審議は“第2ラウンド”に突入する。
そんな矢先、10月11日の介護給付費分科会の議題の中に、「介護報酬改定の施行時期」が盛り込まれた。その趣旨は、診療報酬改定の施行時期の見直しに合わせ、介護報酬改定の施行時期も6月1日にしようというものだった。
ご存じない方のために説明すると、診療報酬の改定案を審議する中央社会保険医療協議会(中医協)は8月2日、来年春の改定から施行時期を6月1日(薬価改定は4月1日)とすることを了承した。
医療分野のDXの推進に向け、改定前後に集中する医療機関やベンダー(システム改修業者)などの業務負荷を減らすことが目的だ。
これは介護報酬改定においても同じだが、毎回、改定年の1~3月に改定案の答申(報酬点数・単位)、通知、Q&Aが矢継ぎ早に出され、現場の職員は事実上、施行直前の3月に新たな報酬算定の準備をしなければならない。
診療報酬改定の施行時期の後ろ倒しは、こうした負担を少しでも減らそうというものだが、訪問看護や居宅療養管理指導など、診療報酬と介護報酬の両方を請求している事業所が一定数あることから、それぞれの施行時期が異なることで、現場に混乱が生じることが懸念されている。
「収益確保が遅れる」は妥当か?
10月11日の介護給付費分科会の審議において、委員の賛否は分かれた。
反対側の意見の中には、介護報酬の単位数や処遇改善加算の引き上げが見込まれる中、施行が2カ月間遅れると、事業所の収益の確保が遅れるというものもあった。
だが、仮に2カ月遅れたとしても、その後の36カ月で報酬は確実に獲得できるのだから、大きな問題とは言えないだろう。それ以前に、現時点において、来年度の介護報酬改定がプラス改定になる保証は何もないのだ。
当日の厚生労働省の資料には以下の記述がある。
次期介護報酬改定においては、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行うことを目指している。また、介護職員の処遇改善に係る加算を含め、事務の変更が見込まれている。
前半の文言は、政府が6月16日に閣議決定した「骨太方針2023」(経済財政運営の指針)を踏襲している。
現内閣の重要政策である「異次元の少子化対策」の財源の確保(3.5兆円)には、社会保障費用の抑制が不可欠とも言われており、来年度の介護報酬改定は、今後の予算編成を大きく左右する。
前出の厚労省の資料には、「必要な対応を行う」と記されてはいるものの、「引き上げる」「改善する」といった言葉は見当たらない。つまり、結論はまだ何も出ていないのだ。
もう一つの不確定要素が、2割負担の対象拡大である。この行方も、介護報酬の改定率に大きく影響するだろう。
現実的には3回連続、1%に届かない範囲のプラス改定になると予想している。処遇改善加算の一本化と加算率の引き上げ、さらには、居宅介護支援における処遇改善加算創設の可能性もあるが、改定率にはその分の財源も含まれる。このため、実質的なマイナス改定となる公算も大きい。
処遇改善加算については、「介護職員の処遇改善に係る加算を含め、事務の変更が見込まれている」との文言から、再編されると考えて良いのではないだろうか。
施行時期の後ろ倒しは「歓迎すべき」
いずれにせよ、施行時期が6月になる可能性は高いとみている。施行が6月になっても、審議や報酬単位の答申のスケジュールは従前通りである。Q&Aなどの発出時期に若干の遅れはあるかもしれないが、事業者にとって、余裕のあるスケジュールは歓迎すべき点が多いと考える。
新たな加算の算定についても熟考できるし、処遇改善加算の見直しがあった場合、職員への配分の見直し作業や処遇改善計画書の作成のための時間を確保する必要があるだろう。施行時期の後ろ倒しは歓迎すべきといえる。

- 小濱道博
- 小濱介護経営事務所代表。株式会社ベストワン取締役。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。
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