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トップ営業マンから介護の起業家へVol.19 中元秀昭/さくらCSホールディングス 代表取締役CEO【後編】

2019/12/23 配信

中元・代表取締役CEOが起業したのは32歳の時、介護保険制度が始まって2年が経った2002年秋のことだった。それまで勤めていた大手警備会社では、トップの営業成績を記録するなど、サラリーマンとして順風満帆の日々を送る一方、「組織の歯車の一部になっているという気持ちはあった」という。インタビューの後編では、起業に至った経緯やケアマネの業務改善などについて聞いた。

前回のインタビューはこちら→「ケア記録×プランAIの試用版、来年秋にも発表

中元秀昭/さくらCSホールディングス 代表取締役CEO

―航空自衛隊にいらっしゃったそうですね。

1年間ですけどね。

―その後、大手警備会社を経て起業されたそうですが、なぜ、介護事業の会社を立ち上げようと考えたのですか。

私は、介護保険が始まって2年後の2002年秋に創業しました。起業の理由は、社会貢献をしたいという気持ちが強かったと思います。何か自分で始めたいと考えていた時に、ちょうど介護保険が始まって、そのタイミングで会社を立ち上げました。

警備会社には12年半いましたが、決して仕事が嫌になったわけではありません。辞める前の6年間は営業の責任者もさせてもらいましたし、自慢話じゃないですが、営業成績は良かったので、そのまま居続けることもできました。

ただ、やはり大企業だったので、組織の歯車の一部になっているという気持ちはありましたね。仕事のやりがいを考えた時に、このままやっても報われないじゃないかと。だったら自分で会社を作って、何か社会の役に立てることをやろうと思ったんです。

たまたま、郵政官僚だった父親が仕事を辞め、退職金が入ってきたので、父のお金も借りながら事業を始めました。タイミングが良かったと言えば良かったと思います。

―おいくつで起業されたんですか。

32の時です。

―この秋で起業から18年目を迎えたわけですが、介護業界に対して、どのような問題意識を持っていますか。

介護業界に飛び込んでからは、とにかく制度上の限界を感じていました。国のお金で成り立っている業界なので、いくら頑張ってもアッパー(上限)がある。

―介護報酬ですね。

そうです。ある一定のところまでいくと、ある意味、達成感を得ることが難しくなる業界だなと。素晴らしい仕事でありながらも、働く人たちがやりがいを見出せず、将来に一抹の不安を感じている。なんとかして、働く人たちのやりがいを創出できないかと思っていました。

やはり労働集約型の仕事なので、人の確保を常に意識する必要があります。高齢者が増える中、職員のモチベーションを高めながら、高齢化の諸問題にどう対応すべきなのか。人だけで解決することが難しいのであれば、ITやIoTといったテクノロジーを活用して、もう少し生産性を上げられないかということを、常に考えています。

―最近、国も介護現場の生産性向上に本腰を入れてきました。

ようやくですよね。人でなければならないところは残しつつ、AIや介護ロボットなどの活用で業務を効率化できるのであれば、私はその方向性に大賛成です。

「Care Viewer」もそうですが、ITを使って書く時間を削減できれば、その分、利用者さんと関わることができます。働く側も、利用者さんと関わることにやりがいを感じている人が多いので、職員と利用者さん双方の満足度を高められるのではないかと感じています。

■ケアプランの“シェア機能”も検討

―ケアマネの業務改善について、何かお考えはありますか。

1つは、ケアプランの“適正化”です。今のケアプランは、経験やセンスといった俗人的な部分や、事業所のカラーに寄ってしまっている。介護保険法本来の趣旨に基づき、自立支援につながる “標準化”されたケアプランを提供する必要があります。この前提の上で、ケアマネさんの仕事を評価してもらうような方向に持っていきたい。ある意味、ケアマネさんの仕事の一部をお助けするツールのような位置づけで、AIを活用していただきたいと考えています。

2つ目は時間の短縮です。ケアマネさんは非常に多忙なので、テクノロジーの活用によって業務を効率化し、その分の時間をモニタリングなどに転用していただきたいのです。

将来的には、他のケアマネさんのケアプランを“シェア”する機能も追加したいと考えています。経験の少ないケアマネさんは、自分の作ったケアプランに自信を持ちにくい。特に施設系のケアマネさんは、他のケアマネさんのケアプランを見る機会も少ないでしょう。優れたケアプランとは何なのか、きっと知りたいはず。ベテランのケアマネさんのケアプランを“シェア”できるようにすれば、ケアの質の向上にもつながると思っています。

■距離こそテクノロジーの出番

―御社がある北海道の高齢化率は昨年、初めて3割を超え、全国的にも高齢化が早く進んでいます。介護を取り巻く状況は、他の地域の数年先を行っているとの見方もできますが、この点についてどうお考えですか。

地域性の違いこそあるものの、例えば、人の確保やケアの質の向上など、全国各地で抱えている課題に、それほど差はないと思います。

ただ、北海道の場合は土地が広いので、移動の困難さなど、距離的な制約があります。さらに、市町村の数が多い上、過疎化も進んでいる。こうした状況の中で、介護保険サービスを持続可能なものにしていかなければならないという点においては、他県より事態は深刻だとは言えると思います。

距離の制約を超えることができるのは、やはりテクノロジーだと思います。例えば、紙の書類を届けなければならない時に、メールやチャットで代替できるとすれば、移動の労力を減らすことができるはずです。

取材・構成/敦賀陽平

中元秀昭(なかもと・ひであき)
札幌市出身。大手警備会社の営業責任者などを経て、2002年9月に株式会社さくらコミュニティサービスを設立。サービス付き高齢者向け住宅やグループホーム、介護・福祉人材を育成する専門学校の運営、人材紹介サービスなどに加え、近年は、介護・福祉サービス事業を基盤とした海外展開、AIを活用したソフトウェアの開発にも力を入れている。2017年にMBA(経営学修士)取得後、現在、小樽商科大で非常勤講師、厚労省の外部委員も務める。

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