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オリンピックをケアに生かす工夫とは?Vol.20 獅子井英子/特養副施設長、ケアマネジャー【後編】

2020/01/04 配信

前回の開催から56年の歳月を経て、東京に帰ってきた五輪・パラリンピック。2度目の夏季オリンピックを間近に控え、ケアマネが担当する利用者の中には、往時に思いをはせる人も少なくないはず。この一大イベントを、日々の介護に生かすことはできないだろうか―。後編では、東京五輪・パラリンピックをケアに生かすための工夫や、獅子井さん自身のオリンピックに対する思いなども聞いた。

前回のインタビューはこちら→「五輪イヤー幕開け!元メダリストのケアマネに聞く

獅子井英子/特養副施設長、ケアマネジャー
獅子井さんは現在、埼玉の特養で副施設長を務める

―1964年当時、オリンピックを見ていた入所者の方もいらっしゃると思いますが、それをケアに生かすことはできないでしょうか。何かお考えがあればお聞かせください。

施設にはテレビが何台もあるので、夏の高校野球だったり、冬のフィギュアの羽生(結弦)選手だったり、興味のある方たちはものすごく一生懸命見ています。きっと、今回のオリンピックもそうなるでしょうね。

野球がお好きな方で、「今日は、どこどこが負けちゃったんだよ」とか、そういう話をしてくださる方もいるので、オリンピックの中継を見ながら、「あの頃とは違うよね」と言われた時に、「当時はどうだったんですか?」と聞いて、お話ができればいいですね。

例えば、東京オリンピックに向けてポスターを作成し、「いよいよ始まります!」といった雰囲気を盛り上げる手はあると思います。

―入所者の方にPRすると。

「オリンピックまであと●日」とか、そんな感じのポスターを施設に張ることで、入所者のか方の興味も増すでしょうし、認知機能が低下した方も、昔の映像を見ればきっと、回想法のような形で脳が少し活性化されて、良い刺激になると思います。

うちは特養なので、リハビリはやっていないんですが、週4日ほど、朝デイサービスの方たちが来るまでの間、空いている理学療法士の方に、起立訓練や車椅子の自走の練習をお願いしています。自走を嫌がる方には、「パラリンピックには、車椅子のマラソンもあるんですよ!」と言って、盛り上げながらやっています。

■20年で介護のイメージは激変

―今年は、介護保険制度の創設から20年の節目でもあります。

団塊の世代の方たちの高齢化によって、高齢者の数が増えた影響もあると思いますが、介護が当たり前のこととなり、ネガティブなイメージがなくなってきた印象を受けます。ご家族が使えるサービスも増え、以前の重苦しいイメージから、少し明るいイメージに変わってきています。

昔は施設に預けると、ご家族がものすごい罪悪感を持ってしまい、「なんだ、嫁が面倒を見ないのか」とか、まるで非道なことをしたような雰囲気がありました。

でも今は、施設に預けた方が本人のためになるんじゃないかとか、良いイメージを持つ方もすごく増えてきて、私たちとしては、非常に有難いですね。「『施設に入るんだったら、たちばなさん(獅子井さんが勤める特養)がいい』と言われて申し込みに来た」とおっしゃる方もいます。そーっと申し込みに来ていた時代を思い起こすと、本当に変わったと思います。

―高齢者の増加によって、介護が一般的になりましたね。

私がヘルパーをしていた頃は、「ヘルパーさんの事業所の車で来ないでください」とか、「制服を着て来ないでください」とおっしゃる方が結構いました。「自尊心を傷つけない形で受け入れてくださるなら、サービスを利用する」とおっしゃる方もいましたね。

■居宅への異動でケアマネの大変さを痛感

―ケアマネも、資格創設から丸20年を迎えます。

ケアマネとして働いた経験は1年ほどしかありませんが、ケアマネの仕事は、ヘルパーとは違う大変さがありました。居宅に異動後、前任の方の利用者さんをすべて引き継いだわけですけど、それぞれの方に合うサービスを組み立て、ケアプランを作ることの難しさを痛感しましたね。

絶大な信頼を置いていた前任の担当者から、いきなり新人に代わったわけですから、信頼関係を構築するまでの間、ものすごく苦労しましたし、ご本人とご家族の希望が一致しているのかとか、そのサービスを利用できる事業者があるのかとか、サービスにつなげるまでの一連の流れも大変でした。「どうしよう?」「どうしよう?」と言っている間に、時間が過ぎていった感じです。

1年ぐらい経って、ようやくご家族との信頼関係もでき、「あの方にはこのサービスがいいんじゃないか」と、少しずつ分かり始めた頃、デイサービスに異動になりましたが、正直、少しほっとした面もありましたね。今は、私がやっていた頃よりも質の高いケアマネジメントを求められると聞いているので、さらに大変なんじゃないでしょうか。

―獅子井さんご自身は、今回の東京五輪・パラリンピックに対して、どんな思いを抱いていますか。

チケットが当たらなかったので、見には行けないでしょうけど、やっぱり、すごく楽しみです。時差がないので、仕事中も、どこかで映像が流れていると思います。孫が2人いるんですけど、もしかしたら、「将来オリンピック選手になりたい」と思うかもしれないので、何らかのイメージづくりはしたいですね。それも自分の中では、オリンピックの楽しみの一つです。

獅子井英子(ししい・えいこ)
1965年、東京生まれ。85年と87年に、ショートトラックの世界選手権で優勝し、「ショートの女王」と呼ばれる。88年のカルガリー五輪では5種目に出場し、女子3千メートルで金メダル、女子3千メートルリレーで銀メダルに輝き、冬季五輪史上初の日本人女子メダリストとなった。引退後、2002年から介護の仕事に就き、現在、埼玉県熊谷市の特別養護老人ホーム「立正たちばなホーム」で副施設長を務める。介護福祉士、ケアマネジャー、認知症ケア専門士、健康管理士の資格を持つ。

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