平成30年度(第21回)介護支援専門員実務研修受講試験 解答

【解答速報】

【総評】

2018年度の「第21回」介護支援専門員(ケアマネジャー)実務研修受講試験(以下、「本年度試験」といいます)は、平成最後の試験として、2018年10月14日(日)に例年通り全国一斉に実施され、同年12月4日(火)に合格発表されました。

■激減した受験者数

本年度試験は、経過期間を経て受験資格が変更(国家資格などの保有と当該資格に基づく実務経験の証明といった厳格化)された結果、受験者の数が約5万人(公表4万9333人)となりました。昨年度(第20回)の13万1560人に比して37%(▲57%)という激減です。これまでの受験者数は、おおむね10万人から13万人の間で推移してきたため、介護関連の業界関係はもちろん、試験実施機関にも衝撃が走ったと聞いています。

その背景としては、昨年度までの不合格者の再受験の道が、資格の変更により閉ざされた点などが想定できます。ただし、本年度受験者の保有資格(重複を含む)を見れば、ここ数年の受験者数(合格者数)を支えてきた介護福祉士が合格者の約50%を占めており、次いで社会福祉士、看護師などとなっています。この構成を見ると、受験資格の変更だけが受験者減の理由とは断言できないようにも感じます。

それでも、受験資格の変更の影響が大きかったのは間違いないところでしょう。資格の厳格化によって受験の道が閉ざされた人に加え、例え受験資格はあっても「混乱が起きやすい制度変更直後の受験は控えて、様子見した」といった受験生もかなりいたと推察されるからです。実際、受験申込期間中には、受験受付窓口の周知不足や誤解などにより、「受験資格がないにも関わらず申し込みが受け付けられ、後に撤回された」「受験資格があるのに、受け付られなかった」といった手続き上の混乱すらあったと耳にしています。

■出題内容と難易度-「例年並み」に潜んでいた“ヒッカケ”と難問

介護支援分野として25問、保健医療福祉分野として35問、計60問と出題数に変更はありませんでした。ただし本年度試験から、保健医療福祉分野のうちの「保健医療サービスの知識等」の20問のうち、これまでやや形式的に仕分けられていた「基礎」(15問)「総合」(5問)という分別は廃止されました。

試験実施直後に本試験問題について解答・解析したところ、その内容や難易度は「例年並み」と評価しました。

しかし、12月4日の合格発表に際して公表された全国平均合格率10.1%という衝撃的な数値と、合格基準として示された介護支援分野13点/25点満点(正解率52%)、保健医療福祉分野22点/35点満点(正解率62.8%)、合計35点/60点満点(58.3%)には、正直、驚かされました。

そこで、問題を再精査した結果、介護支援分野では問題10の「保険料の賦課期日と納付期日の違い」、問題11の「給付に要する費用のとらえ方」などのいわゆる“ヒッカケ問題”や、問題13の「地域支援事業の在宅医療・介護連携推進事業の内容」や問題14の「介護サービス情報公表制度のうち、都道府県知事への報告事項」など、かなりのクセ問題(難問)などが見受けられました。障害者施策並びに障害者総合支援法と介護保険法との関係、共生型サービスについてなど、一通り学習し表面的に理解していても、「正解を導き出すには骨の折れる」問題も少なくなかったということです。その結果、合格基準が低くなったのではないかと考えます。

保健医療サービスの知識などでは、あらかじめ出題が予想されていた福祉避難所と災害時の高齢者・要援護者の支援、在宅医療や、(介護支援分野でも重複出題がありましたが)介護医療院についてなどが出ました。そのほか、死亡診断(書)に関する“使い古されたサービス問題”もありました。福祉サービスの知識などでは、ソーシャルワークに関する出題が多かったことと、地域密着型サービスを中心に、指定基準(人員基準・設備基準・運営基準)と介護報酬(加算・減算。特に、認知症関連)についての出題が目立ちました。その難易度は、保健医療福祉分野としては、必ずしも「やさしい」とは言い切れませんが、例年並みと評価できると思います。

もう一つの側面として、正しいもの、適切なものなどを「3つ選べ」という出題が、介護支援分野で13問(52%)、保健医療福祉分野で31問(88.5%)、全60問で44問と全体の7割以上を占めたことが挙げられます。このタイプでは、「正答2つは自信をもって答えられるが、3つ目が迷う」という難しさと、マークシートの塗りつぶしに時間が掛かるという厄介さがあります。このタイプの出題が増えたことも影響し、合格基準が低く抑えられ、結果として受験者数減も伴い、合格率10%ということに至ったのではないでしょうか。

■今後の展望(予測と希望的観測)

既に述べた通り、本年度試験の受験者数の激減は、受験資格の変更により、「昨年度試験で1点足りずに、本年度再度チャレンジする」といった人が受験できなくなったことや実務経験期間を充足できなかった受験者希望者が多数出たこと、さらには介護福祉士を中心とした介護職の処遇改善の方向性が示されたことで、ケアマネジャー資格の受験を控え次年度に様子見した人が少なくなかったことなどが影響したと推察されます。

逆に言えば、次年度受験者数は、例年並みの10万人超えは難しいとは言え、本年度試験のような5万人台の受験者数で推移するとは想像しにくいです。

今後、地域共生化の流れではケアマネジャーの「人としての能力(智惠と経験)」が必要とされる機会が増えこそすれ、減ることはないでしょう。また、ケアマネジャーとしての実務経験が、その資格取得要件として求められる「主任介護支援専門員」も、人員基準上で必置のサービス事業等もあります。

中には、新たな受験者を増やす努力より、資格を持ちながらも現場で働いていない既合格者延べ70万人余りの人材をうまく活用する方法を検討するほうが手っ取り早いと考える人がいるかもしれません。確かにそうした努力も重要ですが、諸制度改正・諸事務変更に、その時代・世代に合せて活躍できる人材を排出するためにも、毎年、一定数のケアマネジャーが誕生し続けることは、とても重要なのです。この点、今年度の試験で受験者・合格者の激減したことを機に、受験資格を有する方や業界で現に業務従事する方々、関係各位に改めて考えて頂ければと思います。

高齢社会権利擁護研究所 所長 野島 正典

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