【ケアマネジメント スキルアップ講座】Vol.26 何がポイント?在宅での看取りへの対応

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日本ケアマネジメント学会副理事の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。今回は在宅での看取りへの対応について、前・後編でお送りします。

主な対象は「がんがない人への緩和ケア」
ターミナルケアのための基本とは
看取りを終えた後のグリーフケアも

主な対象は「がんがない人への緩和ケア」

看取りに向けたケアが必要な人というと、末期のがん患者をイメージする人がいるかもしれません。ただし、居宅のケアマネジャーが向き合うターミナル期の患者の中には、末期がんの人はあまりいません。むしろ、心不全の患者や、老衰で誤嚥性肺炎を繰り返す方など、「がんではないけど緩和ケアが必要」という人が多いですね。

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ターミナルケアのための基本とは

白木 裕子  氏

看取りが必要な人への対応は、文字通り千差万別。そんな中でも、押さえるべき基本をまとめました。

基本その1:早めに、さりげなく、本人と家族の意思の確認を
「どこで、どのように終末期を過ごしたいか」。本人が言葉を話せる時から、さりげなく確認しておく方がいいでしょう。特に認知症の人は早めの対応が必要です。

さりげなく、というと難しく感じるかもしれませんが、最近話題の「終活」を持ち出せば、そのハードルはぐっと下がります。例えば「お子様に何かの形でご利用者様の思いを残しておいた方が喜ばれるのではないでしょうか。最近は、エンディングノートという手軽なものもあります」といった言い方なら、抵抗なく聞いてもらえるでしょう。

ちなみに、事前に本人から聞いていたからといって、必ずその通りに実行しなければならない、というわけではありません。

本人が「必ず最期まで家で過ごす」と何度も言っていたとしても、体調が激変した時には、その想いすら覆ることがあり得ます。同じように家で最期まで共に過ごすと言っていた家族が「病院に行けば、まだ何とかしてくれるかも…」と、搬送をお願いしてくる場合もあるでしょう。

もちろん、ギリギリの段階で病院に入ってもらうのもアリです。本人と家族の意思を確認しているからといって、何が何でもその通りに推し進めなければならないわけではありません。

ただし、意識がしっかりした時に、普段からの想いや願いを把握しておけば、ギリギリの段階でも「これまではご本人も在宅で最期まで過ごしたいとおっしゃっていましたが、入院して頂くということで構いませんか?」と確認することができます。この確認ができるかどうかが、その人らしい人生の幕引きを実現する上で、極めて重要なポイントです。そのためにも、早めに、さりげなく、本人と家族の意思の確認を繰り返しておくことが重要なのです。

白木 裕子  氏

※80歳後半で慢性心不全の既往がある方のプラン。在宅酸素も利用している上、医師からは急性増悪をする可能性も指摘されています。この事例では、ご家族から「本人の望む通りの生活を」との希望があったことも踏まえ、在宅での支援を決めました。

基本その2:医療との連携の強化を
当然のことですが、医療関係者との連携強化は不可欠です。医師はもちろん訪問看護ステーションや薬局、リハビリ事業所などと連携し、チームを組まなければなりません。どうしても医師との連携が苦手という人であれば、訪問看護師さんを通し、医師と連携する道を探るのもあり得ます。

医療との連携は、サービス提供面で重要であるだけでなく、患者や家族を気持ちの面で支える上でも有効です。

例えば、死が間際に迫った人の体にはどんなことが起こるのかについては、ケアマネが説明するより、医師や看護師から説明してもらっておいた方がよいでしょう。

息を引き取るまでに起こることは、まさに百人百様です。首を後部に反らし、口をパクパクしてあえぐような「下顎呼吸」をし、苦悶する患者さんもいれば、付き添いの方としゃべっていたと思ったら、次の瞬間、静かに息を引き取られる方もいます。寝る前、穏やかに談笑されていた人が翌朝には旅立たれていたということもあります。

その方の状況に応じ、どういう状況に至るか―。それを医療の専門職の方に、説明してもらいましょう。医師や看護師は起こり得る状況の説明にあわせ、どんな症状が出たら緊急連絡すべきかについても示してくれるはず。こうした説明を医療の専門家から受ければ、家族や本人は、安心してケアを受け続けることができるでしょう。

ちなみに、看取りが近い人の現場では、本人だけでなく家族の不安を解消することも心掛けましょう。家族の中には、実情を何も知らない親せきから好き勝手なことを言われて傷ついている人もいるでしょう。また、ケアに疲れてしまい、眠れなかったり、食事を摂れなかったりする人もいるかもしれません。

もしも家族が疲れ果てているのであれば、利用者の一時的な入院やショートステイを検討しましょう。あるいは、週末に親族や子供にケアを交代してもらうことを提案するのもよいと思います。

基本その3:生活歴などの確認・緊急連絡体制の整備
「利用者の生活歴や家族と利用者の関係性を確認する」や「緊急連絡への連絡体制を整える」なども押さえるべき基本と言えるでしょう。緊急連絡の第一報は、必ずケアマネが受け取る必要はありません。訪問看護ステーションでもいいし、医師でもいいのです。誰が受け取り、どのように関係者に情報共有するのか。その点をカンファレンスで明確にし、共有しておけばいいのです。

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看取りを終えた後のグリーフケアも

白木 裕子  氏

利用者の看取りを終えた後の家族らへの「グリーフケア」(身近な人と死別した人が、悲しみから立ち直れるよう支援すること)にも配慮しましょう。たとえば、葬儀や通夜にはできるだけ出席し、ねぎらいの言葉を掛けましょう。四十九日や新盆のタイミングで訪問し、様子を見に行くこともよいと思います。

ちなみに、私は長くお付き合いさせて頂いた利用者が亡くなった時には、利用者への手紙を書き、家族にお渡しすることもあります。手紙を書くことでケアを通して学ばせて頂けたことを振り返ることもできますし、自分自身に対する「グリーフケア」と区切りにもなります。

看取りに携わるということは、その方の生き様を拝見するということ。ケアマネとしてのスキル向上はもちろん、人としても大きく成長させて頂けます。機会があるなら、ぜひ取り組んでみてください。

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白木 裕子 氏のご紹介

白木 裕子 氏

株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。

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