ケアマネを支える先進自治体 VOL.22
【青森県】認知症支援ツールで乗り越える!「県民性」の壁(後編)
青森県では、認知症の人を対象とした独自のツールを作成し専門職間の情報連携を支援しています。その背景には、奥ゆかしく、我慢強い県民性ゆえの課題がありました。高齢福祉保健課の方にお話しを伺いました。
写真左から:青森県健康福祉部 高齢福祉保健課
統括主幹 高橋勝昭さん、技師 音喜多祐未さん
「介護」「医療」「薬」など、12項目で構成
―「あおもり医療・介護手帳」では、具体的にどのような情報を共有できるのでしょうか。
手帳は、 「同意書」や「情報交換シート」に加え「介護のこと」「医療のこと」「相談先」「認知症のこと」「介護保険情報」「生活のこと」「薬のこと」など、12項目で構成されています。
手帳の構成 | |
---|---|
1.同意書 | 7.介護のこと |
2.相談先 | 8.認知症のこと |
3.介護保険情報 | 9.生活のこと |
4.ご本人の情報①② | 10.情報交換シート |
5.医療のこと①~③ | 11.薬のこと |
6.歯科のこと | 12.これからのこと |
このうち、ケアマネジャーが主に記入するのは「介護保険情報」「医療のこと」「介護のこと」「生活のこと」。ご本人・ご家族と相談の上、記入していただいています。
様式のデータは県のホームページで公表しています。それぞれの市町村で、それぞれの地域の事情にあわせて加工して使うことが可能となっております。
交換日記のように、気軽に活用できる「情報交換シート」
―アレンジも可能なのですね。具体的にどのようなアレンジがあり得るのでしょうか。
項目や様式そのものを変えるというより、ご本人と相談し、使いたい項目とそうでない項目を分ける、といったアレンジが多いようです。
また、「情報交換シート」については、ご家族やケアマネジャーが医師や専門職に聞きたいことを書き、医師や専門職が回答を記入するという形で活用することもできます。もちろん、医療関係者が質問し、ご家族やケアマネジャーが答えるというスタイルでの使い方も可能です。
いわば、医療・介護関係者とご利用者・ご家族・ケアマネジャーとの交換日記のような使い方ですね。
特にコロナ禍でご利用者との面談を制限せざるを得ない状況となってからは、それぞれの立場からの気づきや知見、情報も書き込まれたこの支援ツールの存在意義は高まっているようです。なお、手帳は紙製です。新しい情報を書き加える必要が出てくれば、新しいページを追加していくスタイルで情報を更新していきます。
―そのスタイルだと、電子媒体の方が使い勝手がいいようにも思えますが…。
この手帳は認知症の方が日常的に持ち運ぶことを想定しています。それを思うと、電子媒体の活用は現実的ではありませんでした。
看取りなどをテーマとした関係者向けの研修も実施
―そのほか、県ではケアマネジャーを支援するためにどのような取り組みをなさっていますか。
在宅医療介護連携推進事業の一環として、ケアマネジャーも含めた医療・介護関係者向けの研修会を実施しています。
昨年度には、看取りをテーマとした研修会を実施しました。研修会では在宅・施設での看取りの先進事例や在宅医療に力をいれている医師らが、その取り組みを紹介したほか、出席者同士の意見交換も行いました。
―最後に、今後、特にケアマネジャーに期待したいことをご教示ください。
私たちは「高齢者が人生の最後まで、自分らしく生きがいを感じながら住み慣れた地域で安んじて暮らせる青森県」を大目標として掲げています。
この大目標を実現するためにも、ケアマネジャーの方には対象者の自立した生活の実現を目指し、支援してほしい。なかなか自分の弱さや苦しさを見せようとしない青森のご利用者とうまく向き合い、伴走しながら、課題を把握し、自立を支援してほしいのです。
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