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ケアマネを支える先進自治体 VOL.23
【千代田区】コロナ禍でも認知症の人のための集いを継続!(前編)

2022年11月初旬の昼下がり。東京都千代田区にある「デニーズ二番町店」の1階部分を貸し切り、千代田区が主催する認知症本人ミーティング「実桜(みお)の会」が開催されました。この日は認知症の人やそのご家族、実習で見学に来ていた学生らに加え、樋口高顕区長も飛び入り参加しました。

「このミーティングでお願いしているのは、『他の人の想いを聴きましょう』『他の人の想いを受け止めましょう』『話したこと、聴いたことは、この場に置いて帰りましょう』ということだけ。あとは、話す内容も含めて、すべて認知症の人やご家族にお任せで進めています」(菊池洋光・保健福祉部在宅支援課長)。

千代田区の皆様に、この会を進める狙いなどについてお聞きしました。

後編はこちら「他愛もないおしゃべりを、にぎやかに続けてもらう工夫」

【千代田区】コロナ禍でも認知症の人のための集いを継続! 写真左から:石倉美千代さん(保健福祉部在宅支援課 地域包括ケア推進係 保健師)
歌川さとみさん(社会福祉協議会事務局長、元保健福祉部長)
菊池洋光さん(保健福祉部在宅支援課長)
島田知子さん(保健福祉部在宅支援課 地域包括ケア推進係長)

認知症カフェとの違いは…

―「実桜の会」の概要について教えていただけますか。

島田:認知症の人が自由に語り合える場として、2020年2月から定期開催しているミーティングです。対象は、認知症と診断された人や、物忘れなどで不安を感じている人。そのご家族も対象です。千代田区外からも参加できます。

開催ペースは毎月一回程度。定期的に参加してくれる認知症の人やそのご家族は20人くらいです。

―認知症カフェとの違いについて、教えてください。

石倉:認知症カフェは、ご家族同士のコミュニケーションや、ご家族の意見を聞くためには、とても有益な場です。ただ、認知症の人同士がコミュニケーションをとったり、認知症の人の意見や思いを聞いたりするのは案外、難しいという現実があります。

そこで、認知症の人にしっかりスポットをあてた取り組みも必要と考え、「実桜の会」を立ち上げました。

―なるほど。ただ「実桜の会」にも、ご家族は参加されていますので、従来の認知症カフェと同じような状況になってしまうこともありうると思うのですが…。

【千代田区】コロナ禍でも認知症の人のための集いを継続!(前編)

島田:その点は、ちょっとした工夫で解決しています。

―どんな工夫ですか。

島田:ご本人はご本人同士、ご家族はご家族同士のグループを作り、少しだけ距離を取ってミーティングを進めているのです。

石倉:この工夫は「認知症の人とそのご家族だから有効」というわけでないと思います。妻同士、夫同士の方が会話は盛り上がりやすいということを思えば(笑)。

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「実桜の会」の活動を、認知症ケアパスなどの改善に生かす

―よくわかる話です(笑)。「実桜の会」を定期開催することで得られた情報や気づきなどを、区の取り組みに生かされた例はありますか。

石倉:千代田区では認知症ケアパスの別冊として、認知症の人やご家族の声をまとめた「いまのわたしで生きていく」を作成していますが、ここに掲載している文章や写真などは、おもに「実桜の会」のメンバーにご提供いただいたものです。また、認知症ケアパスを改訂した際にも、「実桜の会」の皆様の意見を反映しました。

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再開決断の背景-「コロナで会の活動が途絶えてしまうのは、あまりにももったいなかった」

―ところで、新型コロナウイルス感染症の流行が拡大して以降、「実桜の会」はどのように運営されてきたのでしょうか。

島田:20年3月から同年7月までは、活動を自粛しました。同年7月29日に再開し、以降は定期開催を継続しています。

―再開したことで、認知症の人やその家族に感染が拡大してしまうかもしれないという点に、不安は感じられませんでしたか。

島田:確かに、高齢者にとって新型コロナウイルスは侮れない存在です。ですので、保健所の感染防止対策指導をしっかり受けながら、活動を継続しています。

認知症の人が外出せず、他の人と話もせず、テレビばかり見続けていると、症状が進みかねません。行動制限だけを意識していると、コロナ感染は予防できても、認知症が進行するリスクは高まってしまうのです。その点を考慮すると、万全の感染症対策をした上で、「実桜の会」を再開するという選択が妥当だと思えたのです。

菊池:もちろん緊急事態宣言下では、パフェを食べたりすることはなかったですよ。飲み物は必要な水分補給にとどめていました。

石倉:認知症の人も「黙食」「会話はマスクをして小声で」を徹底してくれていました。まあ…「パフェを頼んじゃだめ?」と、残念そうではありましたけど(笑)

―万全の対策と準備をしたとしても、再開の決断に至るまでは、相当に悩まれたのではないですか。

菊池:事実上、その決断をなさったのは、当時保健福祉部長だった歌川さんです。われわれが再開の必要性を説明したら、「じゃあ、やりましょう!」と快諾してくれました。

―歌川さん、決断に至った背景について教えていただけますか。

【千代田区】コロナ禍でも認知症の人のための集いを継続!(前編)

歌川:確かに当時は「外に出たり、人と交わったりすることは、とにかく控えよう」という雰囲気がありました。

ただ、世の中の動きが止まったことで、高齢者から「誰とも話せなくなってしまって…どうしたらいいの?」という不安の声が聞こえ始めていましたし、医療関係者からは「コロナも怖いけど、感染が収まった後の高齢者の機能低下は、もっと恐ろしいぞ」という指摘も受けていました。

そんな時、職員たちが「『実桜の会』を再開しても大丈夫ですか?」と言ってきたのです。

職員たちは認知症の人たちのことを思い、少しでも早く再開させたかったのでしょう。その危機意識と熱意が十分に伝わったので、再開にゴーサインを出したのです。

―職員の熱意に押されての決断だったということでしょうか。

歌川:それだけではありません。20年7月当時には、マスク着用と手指消毒の徹底によって、新型コロナウイルスへの感染がほぼ防げることがわかっていました。

一方、社会との断絶に伴う認知症の人の症状悪化に対しては、一刻も早い対応が必要でした。さらにいうなら、再開を先延ばししすぎれば、「実桜の会」の活動自体が途絶えてしまうかもしれないという懸念もありました。

対策がほぼ確立している感染症におびえ、職員と認知症の人とそのご家族が一所懸命に積み上げてきた取り組みを途絶えさせてしまうのは、あまりにも、もったいない―。そう思ったから、私は管理職として決断したのです。ただ、それだけのことです。

―「だけ」と仰いますが、その決断ができる人が極めて少ないのが自治体の、いえ、日本社会の現実です。そもそも、当時は「マスク警察」なんて言われるような人たちもいました。そうした人達が激しく批判してくる可能性もあったはず。その点は怖くはなかったのですか。

歌川:激しい批判にさらされたところで、科学的には問題のない対策を講じ、実践していましたので、論理的に反論できる自信はあったのです。あと、もし問題が大きくなれば、私が責任を取れば済むと考えてはいました。そんなことにはならないだろうとは思っていましたけど。

【千代田区】コロナ禍でも認知症の人のための集いを継続! 2022年11月、「デニーズ二番町店」で開かれた「実桜の会」

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