白木裕子の「実践! 仕事力の磨き方」 VOL.31
法定研修にも反映される「適切なケアマネジメント手法」、心がけるべきことは?(後編)
日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。第31回は、このほど確定した新たな法定研修を取り上げます。
自己点検シート、使い方を間違えると逆効果
法定研修にも取り入れられるなど、積極的な活用が促されている、「適切なケアマネジメント手法」ですが、そればかりを重視し、これまでのアセスメントやモニタリングを変えてしまう必要はありません。
例えば、同手法の「基本ケア」の自己点検シートには40項目あまりのチェック項目が列記されています。便利なツールではありますが、アセスメントもモニタリングも、この項目を機械的にチェックするようなやり方をしては、逆に「適切なケアマネジメント」は実現できません。単なる一問一答ではご利用者の隠れたニーズを見出せるはずがありませんし、ご家族と信頼関係を築けるはずもありません。そもそも、40項目あまりを一度にチェックしようとすると、1時間半ほどの時間が必要です。
「適切なケアマネジメント手法」については、その「基本ケア」の内容を頭に入れておき、必要に応じて活用すると良いでしょう。
具体的には、アセスメントやモニタリングの際、先に得たチェック項目に関わるような情報を得たら、きちんと記録しておけばいいのです。このやり方だと、水分摂取量のように具体的な数字が必要な項目を把握するのは難しいと感じる人がいるかもしれません。そうした項目については、アセスメントやモニタリングで得る情報に加えて、デイサービスやショートステイなどからの情報も加えれば、網羅できます。
より重視された「つなぐ」という基本
ケアマネジャーの仕事は、ご利用者の状態にあわせて、さまざまな社会資源に「つなぐ」ことです。この点は、法定研修の改正後も全く変わりはありません。むしろ、改正された法定研修の新ガイドラインで、地域の特性に応じた知識の習得や、習得した知識の実践応用を進めることを目指し、各科目に「法定外研修への接続」が追加されたことを思えば、「つなぐ」役割への期待はより高まっているといえるでしょう。
「つなぐ」という基本は、改正された法定研修では、むしろより重視されたということを忘れずに、「適切なケアマネジメント手法」と向き合い、活用してほしいと思います。
- 白木 裕子 氏のご紹介
- 株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
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