ケアマネジメントスキルアップ講座 VOL.04
サービス担当者会議において求められるスキルとは(実施編)
チームとしてのまとまりを生み出すスキル
サービス担当者会議の実施において、ケアマネジャーはいろいろな役割を果たすことが求められます。私はその中で一番大切なのは、参加者みんなが「この人たちと一緒に仕事をしていきたい」と思える、いい雰囲気を作り出すことではないかと思っています。課題解決は、個別に連絡を取ることでも可能です。しかし、一人ひとりが「いいチームだ」と感じるようにできる場は、利用者を囲んで複数の担当者が顔を合わせるサービス担当者会議が最高のチャンスだと思います。そこでいい雰囲気を作れれば、課題が生じたときの協働もしやすくなるでしょう。
複数の担当者が参加すれば、それぞれ温度差はあります。しかし、もし少し冷めた担当者がいたとしても、無理に引き上げようとしない方がよいと思います。会議は1回で終わりではありません。時間をかけて、同じ思いを共有できるようにしていくことを考えた方がよいでしょう。
ただ、もし何かできることがあるとすれば、その担当者が提供しているサービスについて、どれほど利用者が助かっているか、感謝の気持ちを伝えることです。介護サービスは、滞りなく提供されて当たり前だと考えられがちです。ですから、担当者はあまり口に出して感謝の気持ちを伝えてもらう機会がありません。担当者が集まるこうした場でこそ、提供されているサービスによって具体的にどのような効果が出ているかを話し、感謝することで、ケアマネジャーが感じているそのサービスの意義を伝えていけるとよいと思います。
以前、サービス担当者会議の最後に、利用者のご家族が「会議に参加してみて、こんなに大勢の人に支えられているんだなと改めて思いました。本当にありがたいことです」と言ってくださったことがありました。この言葉を聞いて、その場にいた誰もが、この会議に参加してよかったと思ったことでしょう。利用者に関わる担当者みんなが、どうすれば利用者を支えられるかを真剣に考えて話し合えば、利用者にもご家族にもそれは伝わります。そんないいチームを作るために、サービス担当者会議を上手に利用してほしいと思います。
司会進行を学ぶ場はたくさんある
会議運営の経験が少ないケアマネジャーは、そもそも会議の司会進行はどのようにするものかイメージしにくいかもしれません。私が管理者をしていたときには、新人のケアマネジャーにまず私が司会を務めるサービス担当者会議に書記として参加してもらい、次に、そのケアマネジャーが司会を務める会議に私が書記として参加してサポートし、3回目には独り立ちするというやり方で司会進行を学んでもらいました。
1人ケアマネジャーの事業所など、そうした機会を得にくい方でも、会議の司会進行を学ぶ場はたくさんあります。たとえば、様々な研修に参加したとき、研修内容そのものだけでなく司会や講師にも目を向けること。「わかりやすい」と感じた研修で、司会や講師の方がどのような話し方、意見の引き出し方をしているかに注目すると、きっと参考になることがあるはずです。このほか社内の会議などでも、「司会進行」に注目していればいろいろな気付きが得られると思います。
- 柴山 志穂美 氏のご紹介
看護師、主任介護支援専門員。
看護師として在宅を経験した時、チームケアや生活全体のマネジメントに魅力を感じ、平成12年より介護支援専門員となり、地域ではケアマネジャー連絡会の代表を務めた。介護老人保健施設の相談員を一年間経験。現在、日本ケアマネジメント学会で理事も務める。2012年より杏林大学保健学部看護学科看護養護教育学専攻講師。
著書に『サービス担当者会議運営マニュアル――準備から終了後まで』(共著)など。
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