ケアマネジメントスキルアップ講座 VOL.23
医療連携では「当たり前の視点」が大事(後編)
地域連携で“引き出し”を増やす
そのためには、他の事業所との関係性を深めながら、“引き出し”を増やし、地域で連携するための下地をつくっておくことが大切です。地域の資源、その長所や短所も把握した上で、その方に最適なプランニングができるように備えておきましょう。
末期がんの場合、刻一刻と状況が変化します。頻回なモニタリングに加え、医療との密な連携も必要になるでしょう。情報を主治医に報告するタイミングはさまざまです。その日に教えてほしい内容もあれば、1週間後でいい場合もあります。生活の状況が病状の悪化を意味するのなら、医療の出番です。どのような点を観察し、何を報告すればいいのか、主治医からどのような点を観察すればいいのかの要点を示してもらうようにしましょう。
ぜひ、ケアマネジャーには、医師に積極的に話し掛ける勇気を持っていただきたい。その上で、生活を支援するプランニングは、「ケアマネジャーに任せてほしい」という気概を持って、お仕事に取り組んでいただきたいと思います。そうした経験は、ケアマネジャーのスキルアップにもつながるはずです。
共生型サービス時代、変化に対応を
今回の改正では、介護保険と障害福祉サービスの両方の制度に「共生型サービス」が新たに位置付けられました。例えば、脳性麻痺やダウン症の方も高齢化しています。また統合失調症の方も、いずれは介護が必要になるでしょう。その段階になってから、ノウハウを身に付けるのでは手遅れです。
例えば15年前だったら、独居の末期がんの方を在宅で看取るなどというのは、どだい無理だと言われたかもしれませんが、今では少しずつ増えています。長いスパンで見ると、“常識”は変わるのです。ケアマネジャーの仕事も今後、変化していくでしょう。社会の高齢化が進み、世の中が複雑化している以上、誰かが対応しなければなりません。医師も看護師もケアマネジャーも、職能を拡げざるを得ないのが現状なのです。
末期がんの方、独居の認知症の方、障害をお持ちの方…。こういった方々に対応するケアマネジメントを行うのは、確かに大変です。しかし、こういった方々が珍しくない時代が、まもなくやって来る。今後、地域で選ばれるケアマネジャーになるためにも、こうした問題に対応するための経験値を増やしておく必要があります。
- 川越 正平 氏のご紹介
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東京医科歯科大学医学部卒。虎の門病院内科、血液科勤務を経て、1999年、千葉県松戸市にあおぞら診療所を開設。医療面だけでなく生活を支える視点も持って、在宅療養している子どもから高齢者までの患者に対する訪問診療を行っている。また、よりよい臨床活動を行っていくために、介護等との連携や教育、研究、啓発などの活動にも熱心に取り組んでいる。
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